「ツイン・ピークス」(1991年のドラマ作品賞)

デビッド・リンチ監督の傑作ドラマ。

舞台は、林業と観光が売り物らしい米国北部の小さな街、ツイン・ピークス。女子高校生が花束のように包まれた死体になって発見されるところから物語が始まる。

FBIの捜査官が調べを進めていくと、平和な田舎町の表面下に、麻薬や性行為のネットワーク、秘密結社の存在や相続争い、恋愛や不倫などの事件とも絡んだ人間関係が潜んでいることが分かってくる。

ストーリーは、出口のない迷路をさまようように進行。30人以上にのぼる登場人物は一人ひとり、殺人の動機を持っているように見える。

アメリカでは1990年4月に放映された、序章にあたるパイロット版が33%の視聴率を記録した。

それまで米国のテレビシリーズは1話完結が不文律だった。登場人物も類型的で、分かりやすい人物像ばかりだった。「ツイン・ピークス」は、こういった定説をことごとく覆した。

小さな町の住人たちは、それぞれエキセントリックで、底が知れない魅力をたたえている。濃密にもつれ合った人間関係を、視聴者が自由に解釈して解きほぐしていく楽しみがあった。